2016.09.10
近年、医療制度の事情もあり、自宅で療養される患者さんが増えてきています。2006年から「在宅支援診療所制度」(いわゆる在宅医療制度)がスタートしました。
在宅医療では、医師と看護師が患者さんの自宅に定期的に訪問、病状や薬の管理や改善を行い、各種介護サービス事業者や、緊急時受け入れ先の病院、薬局と連携を取りながら、24時間対応でサポートを行います。
この在宅医療は、交通手段がなかったり、病気のため自力で病院に行けない患者さんが対象ですが、ポータブル検査機器(レントゲン・心電図・エコー等)の利用で、自宅にいながらにして通院するときと遜色のないレベルの診療を受けることができます。
手術や抗がん剤治療、放射線治療をして長い入院生活を送ることだけが、がん治療ではありません。在宅医療でがんの痛み(疼痛)の管理を行いながら家族と一緒に自宅で過ごすことで、体力的にも精神的にも安定して生活することができますので、これも立派な選択肢といえます。また、これまでよりも患者さんの飲む薬の量を減らすことができたという話もよく聞きます。在宅診療による医学管理に切り替えることで無用な投薬をなくすことは十分に可能であると考えています。
入院している患者さんが自宅に戻った途端に、表情も明るくなり生き生きとしてきたのを何度も目にしたことがあります。それほど「自宅」は人に安心を与える場所なのだと思います。
在宅医療は患者さんの価値観や希望を最優先し、その方の人生に寄り添い、暮らしの中でいのちを支え、生き方を支援する医療活動といえます。