2019.12.01
昔からよく言われてきた言葉に「がん家系」という言葉があります。認識として家族にがんが多いと自分自身もがんに罹患する確率が高くなるというもので避けようのないリスクと考えられてきました。現在の医療は遺伝子レベルで分析が可能になっており、昔からなんとなくリスクと考えられてきた「がん家系」も避けようのないリスクではなくなっています。
実は親から子へと遺伝するがんは全体の中ではごく一部の特異的な遺伝性のがんであり、ほとんどのがんは後天的要因のリスクの方が高いことがわかっています。
では後天的要因とは何か?これがズバリ遺伝子の損傷になります。
皆様ご存じのように若者にはがんが少なく、高齢になるにつれて、がんの罹患率が高まってきますが、簡単に言うと高齢になるほど様々な外的要因に晒される時間が長くなることから、遺伝子の損傷リスクが高まるため、がんの罹患率が上昇することとなります。
一般的に言われる外的要因の放射線被ばく、紫外線、喫煙等はがんの発症につながるリスクが高いことはご存じの事と思います。ハイリスクの理由は、これら要因が直接的に遺伝子の損傷を招くからです。正常な遺伝子の状態であれば、細胞を増やす遺伝子と増殖を抑制する遺伝子が作用しているため、予定数以上に細胞が増殖することはありません。しかし外的要因により遺伝子が損傷すると細胞を無制限に増やす+それを抑制する遺伝子も壊れている状態となり、これががんの発生となります。
つまりがん予防は外的要因のシャットアウトが第一であり、親からの遺伝的要因よりもずっとケアする必要がある事柄と言えます。
では結論として「がん家系」とは何か。現代の考え方では漫然と遺伝と考えるのではなく、「外的要因のリスクが多い家系」つまり日常生活や食生活に問題がある家系と考える方が自然となっています。