2019.09.16
わたしたちのからだには、からだの中にありながら、常に外気にさらされている臓器がいくつかあります。
口から、喉頭(のど)を通って、気管、肺胞に至る「呼吸」に関係する部分がそれです。
このルートの終着点は気管支の末端や肺胞となり、ここはガス交換をする場所となります(呼吸器と呼ばれます)。口から入ってやってきた外界の異物はこの終着点から別の場所に送られることはありませんので、ここで待ち受けている免疫細胞によって分解してもらうしかありません。
しかし、「排ガス」や「たばこ」や「ウイルス」、「細菌」などに汚染された空気があまりに頻繁に呼吸器にやってくると、免疫細胞による防御が間に合わず、肺胞の周囲で炎症が強く出てしまいます。「肺炎」と呼ばれる病気の原因となります。炎症が慢性的に続くと、いつしか肺胞の細胞が「がん細胞」となる可能性がでてきます。
また呼吸器のガス交換は、肺胞にびっしり張り巡らされた微細な網目構造になった毛細血管と肺胞との間で行われますが、この網目構造は同時に血液のフィルターの役割も果たしているので、からだの他の場所で発生して大きくなったがんの一部が、血流に乗ってこの肺胞付近の毛細血管から漏れ出てきやすいのです。以上から、肺は、①外気に連絡している②血行性の転移がしやすいという理由から、がんになりやすい臓器ということができます。
鹿児島県では9月はがん撲滅月間とされています。鹿児島県にも、身体所見やレントゲン写真からがんの初期病変を見つけることのできる医師はたくさんいます。早期発見であればあるほど、多くの治療の選択肢がありますし、完治する可能性も高くなります。肺がんもほかのがんと同じく早期発見が重要ですので、定期的に健康診断を受けて欲しいと思います。