2023.07.01
今年は比較的涼しく、過ごしやすく感じていた6月ですが、流石に月末になると南国特有の暑さが目立ちだし、天気の良い日の日中は30℃を超える事が多くなってきました。
7月8月は夏本番、子供のころは夏休みで楽しかったことを思い出しますが、今となっては私も高齢者の一人。
暑さは健康の大敵となるのです。
特にこれから増えてくるのは「脱水症」
甘く見ていると最悪の事態も想定される恐ろしい症状です。
若い方にも高齢の方にも脱水症は身近な問題なのですが、発生までの経緯が異なります。
若い方は主に外での運動中や仕事中など、アクティブに活動している際に脱水が起こりますが、高齢者の多くは自宅内での安静時に脱水症が発生しています。
なぜなら高齢者は温度に対する感覚が弱くなり、ご自宅内の気温が驚くほど高い方がいるからです。
実際の診察でこれまで何度も繰り返してきた問答ですが、エアコンを使って気温を28度以下に保ってくださいとお伝えしたところ、患者様は「でも先生、私クーラーに当たると気持ち悪くなって…」と返されます。当然私の返答は「でも、そのせいでもっと気持ち悪くなって、今あなたは入院しているのですよ」となります。
勿論個人差はありますが、高齢になってくると皮膚の血液量や汗の量を増やして体内の熱を周囲に逃がす能力が低くなり、深部体温が上昇しやすくなります。
また、暑いと感じにくかったり、喉が渇きにくかったりとクーラーを使わなくても暮らせてしまうことが自宅内での脱水症を生んでしまう原因のようです。
高齢者の脱水症予防にまずお願いしたいのは生活スペースへの温度計設置です。
本人は暑いと感じていないため気づかないのですから、ご家族の中でルールを決めて28℃以上になったらエアコンを必ず使用しましょう。
お一人暮らしの方は、温度計の確認と、就寝時には必ずエアコンを使用して熱帯夜から身を守って欲しいと思います。
水分の摂取も非常に重要なので喉が渇いてなくとも水を飲む習慣をつけなければいけませんね。
勿論、十分に対策しても脱水が起こることはあります。夏場は特に注意が必要。
不意にめまいや気分不良などがあれば高齢者は脱水を真っ先に疑います。
皆様にはそのようなときのためにOS-1などの経口補水液を常備しておき、いつでも相談できるかかりつけ医を決めておいていただきたいものです。