2016.03.10
わたしたちのからだには、侵入してきた病原体やからだにできたがん細胞を排除する「免疫」という機構が生まれながらに備わっています。この免疫機構に注目し、応用してがん治療をおこなうのが免疫細胞療法です。
最近は、民放各局のTV番組などでも特集がしばしば組まれていますので見聞きしたことのある方も多いと思います。
ただし一言で免疫細胞療法といってもNK細胞療法や樹状細胞療法、BAK療法などさまざまなものがあり、それぞれに特徴があります。どの療法も、自分の白血球内のリンパ球にある免疫細胞のいずれかに絞って活性・培養化し、がん細胞への攻撃の効率をあげるものであるという点では共通しています。この療法は、自分の血液を採取して、免疫細胞を活性・培養するものですので、つらい副作用や身体的負担はありません。
効果については、当院の場合、①手術や放射線治療は受けたが化学療法(抗がん剤治療)はいまだ受けていない患者さん、②「がん」と診断されてすぐに免疫細胞療法をはじめた患者さんに対しては一定の延命効果が認められています。さらに高濃度ビタミンC点滴療法や、低用量ナルトレキソンといったほかのがん治療法と組み合わせて行うと、免疫機能の向上により相乗効果があるようです。
ただし免疫細胞の活性・培養というのは技術的に易しいものではなく保険適用外ですので療法自体は決して安価なものとはいえません。
何より治療方法を決めるのは自分や家族です。あらかじめ十分な説明をうけ、相談することのできる医師からのアドバイスを聞き、納得したうえで治療に臨まれるとよいと思います。