2017.12.12
息を吸うと、口や鼻から取り入れた酸素が気管を通って、左右の肺に入ります。
肺の中に入った気管は、枝分かれを繰り返して肺の表面で2~3億個の肺胞という袋となります。
肺胞に到達した酸素は、肺胞を取り囲む毛細血管の層に受け渡されて全身で利用されます。そして、息を吐くときは、身体機能の結果生じた二酸化炭素が肺胞に取り入れられて上記と逆のルートを辿って口や鼻から排出されます。このような肺(肺胞)のガス交換の機能が障害される原因の一つに「肺炎」があります。肺炎は患者さんの肺胞の中(実質)を好中球などの白血球が埋め尽くしていたり、袋の部分(間質)が厚くなってガス交換機能が障害されている病態です。
乾いた咳が続いたり、少し身体を動かすだけで呼吸が苦しくなる、患者さんに聴診器を当てると「パチパチ」という特徴的な水泡音が聴こえる(コースクラックル)・・。
こういった症状がみられる時は「肺炎」を疑わなければなりません。
肺炎の原因は細菌やウイルスによる感染が多いのですが、一言に細菌やウイルスと言いましても、肺炎球菌、肺炎桿菌、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌、マイコプラズマ、インフルエンザ菌、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルスなど、様々な種類によって引き起こされます。したがって我々医師にとっては肺炎の原因を見つけ出して適切な治療薬を選択することが重要な作業となります。
最近、ビタミンCが破壊された肺胞を修復するという論文が発表されました。将来的には抗菌薬や抗ウイルス薬やステロイド薬を補強あるいは代替するものとして、高濃度ビタミンC点滴が肺炎治療にも活用される時がやってくるかもしれません。