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さくらクリニック・鹿児島市 | がん治療をはじめとする内科診療を行っています

さくらクリニック
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さくらクリニックBLOG

院長コラム 2021年4月号「ケトン食って??がん治療の支援にも」

2021.04.01

さくらクリニックでは以前より、がん統合医療の一環としてビタミンC点滴療法を始めとした治療に取り組んでいます。
がん治療が他の病気治療と比較して困難であるのは特効的な治療がない事に尽きると思います。
進行の早いがんでは、考えられる限りの治療を行っても進行を止めることが難しいこともありますし、手術・化学療法でいったん寛解したがんも、時間をおいて転移・再発することもあるのが悔しいところです。
「これをやっておけばまず大丈夫!」という方法がない以上は、医学的な治療に加えて日常生活の送り方が療養においての成否を左右する重要な要素であると私は考えています。
特に重要な部分と考えられるのが食事ですが、本日はその中でもケトン食を簡単にご紹介したいと思います。
あまり聞きなじみの無い食事名かもしれませんが、低炭水化物・高脂肪食をケトン食と定義して良いでしょう。

ではケトンとは何か?人間は通常エネルギー源として糖を使っていることはご存じかと思います。食事として糖を摂取できる環境では、これを貯蔵する・エネルギーとする回路が身体を動かしています。対して糖分が摂取できない状態になると、糖の代替回路として脂肪を利用したケトン回路に切り替わり、体内で「ケトン体」が生成されます。
このケトン体の生成を誘発する食事をケトン食と言い、総摂取カロリーの7割は脂質から摂取する必要があります。

ケトン食は以前からてんかん発作の治療に効果的であると用いられていたのですが、現在はがんの予防・治療分野でも研究が進んでいます。
研究のきっかけとなったのは、イヌイット民族の食事と疾病についての研究と聞いています。寒冷な土地柄のため穀物や野菜を栽培し、摂取することが出来なかった1900年代前半のイヌイット民族の食事はアザラシやクジラ、魚などたんぱく質と脂質のみを摂取し極端に炭水化物が不足している状態でした。では体に悪影響が出ていたのかというとむしろ逆で他国と比較した場合、がんの発生率は極めて低いことが知られていました。しかし欧米型の食文化が入ってくるようになり、1950年代からは大腸癌・肺癌・乳癌・前立腺癌が増加しているように、食生活とがん予防の関連性が示唆されています。
正直ケトンがなぜ、がんに対して有効に作用するかの全容は解明されていないのですが、日本でも大阪大学が長く臨床研究を続けており、治療としての骨子が固まりつつあります。
私自身はがん治療としても、効果的だと考えているのですが、食べるものの選定や糖質の制限方法・カロリーコントロール等、専門家のアドバイスが必須と考えますので、自己判断で始めないことが重要です。

蛇足ですが、先程のイヌイット民族の研究結果ではがん以外にも心臓病や脳血管に関わる疾病も極めて低い発生率に抑えられており、がん以外にもケトン食の可能性を感じています。
これはケトンの効能だけではなく、イヌイット民族の摂取していた脂肪分の内容も大きく関係しているのでは?と思っています。
字数の関係から、脂肪の健康的な摂り方について次月お話いたします。

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